かわらばん

にゃんこと日常を愛するブログ

ばあちゃん

ばあちゃんが死んだ。

大動脈解離という、心臓に近い太い血管の内壁がバリバリと剥がれる病気で、心臓のまわりに大量の血液が流れ込んで心臓が拍動できなくなったために、あっという間に死んでしまった。

90歳だし70年も煙草を吸ってたし、薬飲んでも血圧時々190あったから、看護師である私は、ばあちゃんがそんな病気になったのも理解できた。

 

ばあちゃんが「えらい」と言って叔父(次男)が救急車を呼んだけど、運ばれてるうちに痙攣して心肺停止になった。

私が病院に駆けつけたとき、心電図の波形は30ぐらいはカウントしていたものの、もはやそれは生きているとは言えない状態であった。

「脈が…」と思わずつぶやいてしまったら、ピンときたのか医師は「心臓マッサージして2回は戻りましたがこれ以上は」と私に訴えてきた。私もそうだが、医療者の匂いはすぐにかぎ分けられる。

その最中、ドラマのように心電図の波形がピーとフラットに。

「ありがとうございました。…もうええよね?」と5mぐらい離れて立ち尽くす父と叔父に確認をとった。

二人はカクン、カクンと頷いた。

胸骨圧迫したなら、肋骨はボロボロに折れているだろう。細い小さな身体は白く、血の気が引いていた。シワシワのおちょぼ口からは気管内へ管が挿入され、小さな呼吸器につながっていた。

 

ここにいるのはたしかにばあちゃんなのだけれど、あのラブリーだったばあちゃんはもうここにはいない。

YOUに似たおしゃれなばあちゃんはもういないのだ。

ばあちゃんにあげようと買っていた色つきリップは、机の上に出してあったのに。

いつでも渡せると思っていたのに。


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2月21日のことだった。